埼玉県立がんセンターは、都道府県がん診療連携拠点病院として、地域の高度がん医療とがん研究の中枢機能を担う、がん専門病院です。

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チーム医療の実践|呼吸器がんキャンサーボード|あらゆるがん治療にチームで立ち向かう

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発言者

呼吸器キャンサーボード出席の先生方

       呼吸器がんキャンサーボード

  • 呼吸器内科 酒井 洋
  • 胸部外科  秋山博彦
  • 放射線科  齊藤吉弘
  • 胸部外科  吉野直之
  • 胸部外科  三上 巌
  • 呼吸器内科 栗本太嗣

キャンサーボードは、チーム医療として肺がん治療を行う関係各科が全員集まって、グループ間でディスカッションを行うものです。とても難しい症例について毎月1回集まって検討しています。検討終了後、出席した先生方に、がんセンターのチーム医療の方針と現状について伺ってみました。

みんなでひとつの答えを出すことが大切

肺がんキャンサーボード

肺がんキャンサーボード

酒井
早期がんのケースとして一番多いのは、がん検診を受けた結果、異常陰影があって「がんが疑われる」と紹介されていらっしゃる患者さんです。紹介してくださる先生によっては、胸部外科に直接紹介する場合と呼吸器科に紹介する場合がありますが、検診の場合は内科のほうが多いかもしれません。
秋山
手術適応するかどうかについては、呼吸器合同カンファレンスにおいて、手術先行のほうがよいのか、放射線と抗がん剤の併用療法を先行してがんを小さくしてから手術したほうがよいのかを検討して決定します。
酒井
外来の患者さんの中で、「内科の治療が必要なのか、それとも外科の治療が必要なのか」と判断に迷うようなケースについては週1回の症例検討会でみんなで検討して方針を決めています。呼吸器科半数以上の症例については、こうした検討を行って治療のための道筋を決めています。
通常行っている短いディスカッションでは症例について深く検討することができません。そこでキャンサーボードでは、放射線科、胸部外科、病理、呼吸器科など関係科がすべて集まって、お互いの視点でディスカッションを行います。
判断に迷う症例も少なくはありませんが、病理の先生も合同カンファレンスに出席したり、何かあれば飛んできて一緒に検討を行ってくれています。
がんセンターでは、患者さんの治療方針はひとりの先生が決めるのではなくて、みんなで協議を行って決定することにしています。先生方はみんな出身大学もバラバラですから、ひとつの病気の診断治療方針に関して大学病院のようにトップダウンする必要はまったくないんです。
みんなでひとつの答えを出していくことが大切だと考えています。ここではきちんとしたチーム医療を行っているのです。
先生方も自分の専門の分野のことしかわからない場合もありますから、カンファレンスは別の分野の勉強にもなりますし、日ごろ顔を合わせることがない先生方もこうした場で率直な意見交換を行い、意思疎通を行って日頃の治療に役立てています。

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トップクラスの症例数、手術数

Ra手術室

Ra手術室

酒井
ガイドラインに則った標準治療をきちんと行うことを心がけています。
斉藤
手術の難しい進行肺がんの治療は、化学放射線療法を施行するのが世界的に一般的です。当院の呼吸器科の化学療法のプロトコールの成績がよいので、放射線治療にそのプロトコールを同時併用しております。治療成績はよいと思われますが、局所制御と遠隔転移がなお難しい問題で、放射線科としては、精度をあげて、病巣部へより多くの放射線をあてることが世界的に求められていることから、今後、呼吸器科と相談して新しいプロトコールを検討していく予定です。
酒井
当科で行っている化学療法は年間200例くらいです。これはかなり多いほうだと思います。患者さんの全身状態・年齢・使用する薬にもよりますが、標準的な治療を積極的に外来で行うよう心がけています。また国内外の多施設共同臨床試験や新薬の臨床試験へ積極的に参加しております。す。
吉野
わたしは以前、他の県のがんセンターにいたのですが、そこと比べても明らかに症例数は多いですし、内科などとも連絡もよく、抗がん剤治療についてはこちらのほうがとてもよいと感じます。
秋山
肺がんの手術件数は、全身麻酔症例が年間250例、原発性肺がんが年間130-140例と、トップクラスの症例数をこなしています。

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早期がんも進行がんも、バランスよく取り組む

がんセンター薬剤部は抗ガン剤のエキスパート

がんセンター薬剤部は抗ガン剤のエキスパート

秋山
拡大手術については、拡大手術を行うことでどの程度の成績が向上するかということは学会で検討され尽くしているのが現状でして、手術単独では成績向上は期待できないということがわかってきています。
そうした流れからして、最初から手術をした場合には合併切除が必要な状態であったとしても、抗がん剤・放射線治療を行って腫瘍を縮小させ、合併切除の必要のない状態にしたうえで切除手術を行うということも行っています。昔のような「できるだけ取れば良い」という考え方とはずいぶん変わってきていますね。
かなり侵襲が多くても年齢が若く体力のある場合は、最初から「がんを取りきろう」と判断することもあります。
肺がんの「胸腔鏡手術」については、これまでの開胸手術と同じレベルでリンパ節郭清ができるということが前提で、1A期の肺がんに関しては胸腔鏡併用の肺がん切除とリンパ節郭清を行って開胸創を小さくしています。だいたい最近では平均して10センチ弱程度の開胸創で施術しています。今後はさらに侵襲を小さくしていきたいと考えています。
三上
新聞でも報道されていましたが、全国のがんセンターの中でも、埼玉がんセンターは進行期の比率が格段に高くなっています。これはわれわれが、厳しい症例を頑張ってやっている証拠です。
早期がんばかり治療していれば全体の成績がいいのは当たり前です。進行がん、難治性がんを化学療法や放射線療法を併用していかに頑張って治療するかが、がん治療の最前線なわけですから。
秋山
進行がんだけでなく、早期の肺がんについても積極的に胸腔鏡下手術を行いまして、早期の診断を心がけています。それによって診断治療も侵襲を少なくし、治療成績も上げることができます。埼玉がんセンターはバランスよく、あらゆるがん治療に取り組んでいる病院なんです。
斉藤
放射線関係で一番問題になるのは副作用の肺臓炎です。肺臓炎を減らすためにいま放射線科が取り組んでいるのは、病巣部の形状に合わせた形で放射線を照射する3次元原体照射と言われるものです。この治療法は医療機器や技術の進歩によって可能となりました。この方法を応用して、早期かんの定位照射(ピンポイント照射)も可能となり、当病院でも施行している最新の治療法です。
酒井
早期がんから進行がんに至るまで非常に広い範囲で最先端の肺がん治療を行うため、呼吸器科、胸部外科、放射線科、脳神経外科、内科や病理とのタイアップがなければ成り立ちません。がんセンターではそうしたチーム医療がとてもうまくいっています。放射線治療の先生方はかなり大変そうですけど(笑)。
ここでは現在の標準治療がきちんと行われていますし、「外来で治療できる人については基本的に通院治療で」という方針も徹底されています。
栗本
薬剤部の皆さんとの連絡もとてもうまくいっていますし、通院治療を行うためにはデイケアセンターの看護師さんとのコミュニケーションが非常に大切なのですが、がんセンターにはがん化学療法認定看護師が2名在籍していますから、この点も非常に心強いです。

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