研究所長のご挨拶
臨床腫瘍研究所所長 金子 安比古

お知らせ
埼玉県立がんセンター臨床腫瘍研究所は、平成19年4月1日より、埼玉大学大学院理工学研究科の連携研究機関になりました。これを機に、当研究所は「がんの生物学」に関する研究と教育の充実に努め、研究成果をがん医療と社会に還元する研究を一層発展させます。
指導教官 客員教授 金子安比古(臨床腫瘍研究所・所長)
入学方法、入学試験に関するお問い合わせは、下記にお願いします。
連絡先:金子安比古 E-mail: kaneko@cancer-c.pref.saitama.jp
この20年間に癌研究は急速に進歩し、「癌は遺伝子異常により起こる病気である」ことがわかりました。癌の薬物療法は癌細胞と正常細胞の両方の増殖に必要なDNA合成や細胞分裂を阻害する薬剤を用いているので、正常細胞が障害されることによる副作用が生じ、これを避けることができません。最近、患者さんの治療に使われるようになった、慢性骨髄性白血病に対するイマニチブ、乳癌に対するトラスツズマブは、それぞれの癌細胞にのみ生じた遺伝子異常を標的にした薬剤です。そのため、従来の抗癌剤治療に伴う副作用がみられず、既存薬剤が効かなくなった患者さんにも著効を示すことがしばしばあります。これらの薬剤は偶然に発見されたわけではなく、20年以上に渡る癌の遺伝子異常とその産物についての基礎的・臨床的研究の結果に基づき開発されました。これらの例からわかるように、癌の克服のためには、現在の治療法で治せる患者さんをきちんと治すだけでなく、「現在治すことのできない患者さんを将来的には治す」という目標に向かって、基礎的・臨床的研究を進めることが重要です。「臨床腫瘍研究所は将来の癌医療を担うために」を基本理念として研究活動を実施しています。
1975年11月、埼玉県立がんセンターの発足時に研究所は設立されました。機構改革のため2001年より研究室に名称が変更になりましが、その後の見直しの結果、2005年4月より臨床腫瘍研究所という名称になりました。現在、研究者、研究生、研究補助員など約30名が研究に従事しています。研究部門としては、1)がん予防研究、2)がん診断研究、3)がん治療研究の3部門があります。幅広い研究テーマを扱っていますが、いずれも将来の癌医療への貢献を目標にして、研究しています。当研究所はがんセンター病院に併設されているという特徴を生かし、各部門とも臨床各科と密接な協力関係をもち、共同研究を進めています。これまでに得られた研究成果は国内外の学会及び学術論文などを通じて多数発表されています。最近3年間の発表論文を、各部門の紹介の終わりにまとめて示します。研究費は埼玉県からと、文部科学省、厚生労働省、各種研究財団からの助成金によって賄われています。小規模な研究所ですが、世界レベルの研究成果を発表すること、次世代を担う若手研究者を育成することの二つを行動目標にして運営しています。