はじめに
趣旨
埼玉県立がんセンター・研究所は病院に併設され、既に三十数年の歴史を持っています。現在では臨床腫瘍研究所としてがんの予防・診断・治療の三部門でがんの本態の解明をめざしながら臨床に結びつく研究を進展させています。
これまでに、私達は県民の皆様に研究内容や「がん情報」を発信してまいりました。
このたび新たな試みとして、4月中旬の全国科学技術週間に合わせて埼玉県民がんフォーラムを開催し、皆様にその時々の「がんについてのさまざまな話題」を提供して、共に考える機会を持たせていただくことにいたしました。併せて、私達の研究についても紹介させていただきます。
このフォーラムが県民の皆様の間に根付くように努力してまいります。
第1回がんフォーラムの目的
日本人の三人に一人ががんで亡くなる今日、がんは誰にとっても他人事ではなく、誰もが日常的に直面する問題です。
がんは遺伝子の病気であることが明らかになり、ヒトの全遺伝子の配列の解読が終了して21世紀を迎えました。高度先端医療技術が発展し、高度のがん医療を受けられる人々がいる一方、地域格差などのために十分ながん医療を受けられない人々もいます。
「がん対策基本法」が平成18年に制定され、がん対策の充実と治療の地域格差解消のための努力がなされています。また、確実に直面する高齢社会での医療、社会福祉のあり方が問題になっており、総合的な解決が求められています。
今回の県民フォーラムは、「がん哲学と豊かさを求めて」をテーマに、樋野興夫先生(順天堂大学医学部教授)と暉峻淑子先生(埼玉大学名誉教授)による講演会を開催いたします。樋野先生は、患者さんやその家族と語り合う「がん哲学外来」を実践しておられます。先生の実践を通して得られた「がん哲学」と「がん難民」問題についてのご講演をいただきます。同時に、一人のがん研究者として、がん医療を支える「がん研究」と「市民」とのつながりについても言及していただきます。
暉峻先生(埼玉大学名誉教授)は生活経済学者として「豊かさとは何か」について私たちに問いかけています。「生活者の拠点である地域に、人権を大切にし、誰も排除されない福祉社会をつくっていく人間的な協力こそが、格差と差別の暴力をこえた、人間連帯の社会をつくる」と著書で述べておられます。暉峻先生には樋野先生のご講演を受けて、高齢化社会における福祉・医療問題についてご講演をいただきます。
講演後に、講師の先生方への質問・疑問点など自由な発言を会場の皆様からお受けし、現状の問題点や改善すべき方向性などについて共に考えたいと思います。
主催
埼玉県立がんセンター


